研究概要 |
本研究では,例えば自動車、新幹線、航空機など極めて高い気密性を有する構造音響・強連成場の理論的解明を試み,その本質的な抑制手法の体系的な理論構築を目的としている.当該年度における主な結果は以下の通りである. (1) これまでに明らかにきれている音響パワーモードは、振動場から音場への一方向における単純な平板を対象に展開されているに過ぎず,三次元問題など実情に即したシステムにおける音響パワーモードは未だ見出されていない.さらに,騒音と振動を同時に扱う理論が欠落していた.そこで,構造音響・強連成場における騒音と振動の直交因子の存在を見出し,当該因子を抑制することで騒音・振動現象を必ず抑制できることを明らかにした. (2) 柔軟フィルムの表面改質技術である電極パターニング技術とラミネート技術を融合することで,スマートフィルムとスマートアクチュエータが一体化したスマートフィルム(厚さ:420μm)を作成した.さらに,一次元平板状構造物を対象として,当該スマートフィルムを用いたモード制御系を構築し,その有用性を実験によって立証した. (3) 連成面において,振動の影響を受けずに透過音が低減可能な壁面透過音制御システムを提案した.当該システムは圧電材料・遮音板・インダクタンス回路から構成され,回路を調整することで,広帯域の騒音抑制効果が得られる.さらに,当該システムを新幹線車両に適用し,デッキ部および客室のパンタグラフ部における騒音低減効果を実証した.
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