研究概要 |
本研究では,例えば自動車、新幹線、航空機など極めて高い気密性を有する構造音響・強連成場の理論的解明を試み,その本質的な抑制手法の体系的な理論構築を目的としている.当該年度における主な結果は以下の通りである.(1)狭い二重壁構造と閉空間場の連成問題について音響パワーモード制御の観点から研究を行った.まず,間隙のポテンシャルエネルギを最小化することで,閉空間場のそれを抑制することを試みた,しかしながら,目的の達成には至らなかった.これは,間隙での静粛化を行うために,2つの平板が同振幅同位相で振動するようになるため,閉空間に接する平板の変位が必ずしも抑制されないことを意味している.以上のことから,閉空間場における騒音を抑制するには,閉空間場自身とそこに接する平面の連成を考慮した場合のみが有効であることが明らかになった (2)スマートストラクチャの基盤材料となるセンサやアクチュエータへの透明性の付与は,透明フレキシブルディスプレイとの融合など産業面における応用は多岐にわたる.そこで分布定数系アクチュエータの設計手法と導電性高分子を融合させることにより,透明性を付与したフィルムアクチュエータの創生手法を提案する,本論文では透明導電性高分子の基本特性を言及するとともに,代表的な導電性高分子であるPEDOT/PSSを電極材料として具体的な検証を行った.その結果,特定の振動モードのみを励起可能な透明フィルムアクチュエータの機能を実証した.当該手法は,窓ガラスの遮音問題のように,センサ・アクチュエータの透明性が要求される場合に非常に有効となる
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