研究概要 |
能動スコープカメラは,柔軟ケーブルを繊毛振動で分布的に駆動する柔軟機構である.本研究は,柔軟索状体の全体形状や運動等を計測・状態推定することにより,瓦礫内での運動制御能力を向上させることを目的とする.具体的には,先端広角カメラの映像によるモーションステレオ,ケーブルに組み込む超小型慣性センサ等からの運動計測データをもとに,能動スコープカメラの力学モデルを用いて,分布的運動,形状,トラクションなど,柔軟ケーブル全体の状態を推定する.それに基づき,分布振動駆動と根元の運動を併用して,(半)自律的な運動制御を実現する. 研究計画に従って,本年度は,次の成果を挙げた. 1.ケーブル先端の運動計測法の研究開発と瓦礫内SLAM 研究室内の映像と運動センサデータからは6自由度の運動推定をある程度の精度で行うことができ,マップを作成できることが確認できた.一方で,瓦礫内では特徴点抽出が困難であることが主たる原因となって,運動推定自体が困難であった.そのため,ケーブルとアクチュエータの運動モデルを利用した新たなSLAMの定式化が必要であると考えている. 2.ケーブル全体の運動制御 新たな運動制御の方式として,摩擦異方性を利用したインチウォーム機構を考案した.これによりこれまで運動が困難だった環境条件を補完し,ケーブルの運動性能を飛躍的に向上できることがわかった.これによって制御の自由度が増えるため,それを活用した新たな運動制御方式の検討が必要である. 3.実証試験 床面の材質などを変更した様々な実験室条件での試験を行うとともに,レスキュー部隊の訓練所などを活用して瓦礫等への適用試験を行った.
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