研究課題
本研究は、嗅覚を搭載したロボットの開発を目的とする。本年度は、ロボットに搭載する能動スアレオ嗅覚センサのプロトタイプを製作した。ポンプを使い、左右に取り付けた半導体ガスセンサに向け前方から空気を吸引し、ガスを引き寄せて検出する。吸い込んだ空気を後ろ向きに排出すると、後方に向けた噴流に空気が引っ張られるため、ガスを前方から引き寄せる向きの気流が増強される。同時に、ポンプからの排気の一部を左右の吸気口の間から前方に向けて排出し、エアカーテンを形成するように改良を施した。この結果、左右のガスセンサの応答差が拡大し、ガス源方向の判定確度が向上した。現在は、能動ステレオ嗅覚センサが形成する気流場の数値流体力学シミュレーションを行う準備を進めている。既に幾何学モデルの作成と計算格子の生成を終えており、得られたシミュレーション結果に基づいて、環境に応じてエアカーテンの強さを適切に調節する機能を実現する予定である。一方、作製した嗅覚センサをロボットに搭載し、ガス漏洩や悪臭の発生箇所などを突き止めるためには、現実空間に形成される気流場・濃度場の様子を知ることが必要である。そこで、自律移動ロボットにガスセンサを搭載し、屋内外の様々な環境において気流場とガス濃度分布の計測を行った。屋内環境では、飛行船型ガス計測ロボットを用い、地表面だけでなく上空のガス濃度分布も計測した。収集したデータを解析した結果、屋外環境では気流の一様性を仮定でき、観測されたガス濃度を用いてガス源位置を推定可能であることが分かった。予想に反し、屋内環境の方が複雑な気流場・濃度場が形成されていることが分かったため、次年度は、大規模な室内空間で迅速にガス源位置を推定するアルゴリズムの開発を目指す。
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