研究概要 |
力覚を有する内視鏡手術ロボットシステムの遠隔治療への適用のために,通信遅れを考慮した位置と力をフィードバックする制御方法を提案し,安全性を日米間の遠隔実験によって定量的に評価することを目的とし,研究2年目に下記の成果を得た. 1.スレーブ側鉗子の駆動部分の軽量化を実現するために,空気圧シリンダ部の材質を見直したものと,駆動部分を内径3mmの空気圧ゴム人工筋に変更した2つの鉗子を新たに設計製作し,これによって,鉗子先端での力覚の推定可能な最小力を1.0Nから0.5Nに向上させることに成功した. 2.システムの安全性評価として,豚を用いたin vivo実験を2回実施した.本年度は内視鏡保持マニピュレータを新たに開発し,本システムが内視鏡手術の効率化に有効であることを医師へのヒアリングによって確認した. 3.本システムにおいてマスタ側の適切なパラメータ設定を定量的に評価すべく,東京医科歯科大学と連携し,17名の医師を含む合計34名の被験者によって,対象物を移動させる実験を実施した.軌道,作業時間等を定量的に評価し,適切な粘性パラメータを見出した. 4.マスタ・スレーブシステムの位置と力の情報を通信するバイラテラル制御において,通信遅れが生じても安定性を確保できる新しい制御方法を提案した.具体的には,研究者らが提案しているマスタ側に仮想的なスレーブを配置し,オブザーバによって安定性の指標となる受動性を満たすべく制御パラメータを調整する制御方法において,新しいパラメータ調整方法を提案し,1軸の実験によってその有効性を確認した.
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