研究概要 |
垂直走査型白色干渉顕微鏡は広いダイナミックレンジを持ちながら微細な凹凸の高さにも極めて高感度であり,段差を有する物体表面の3次元形状を高精度に計測する場合に広く用いられている.しかしながら高さの違いに高感度である故に顕微鏡が置かれる環境の振動影響を非常に受けやすい.我々はこれまでに被測定面の一部が鏡面の時に,鏡面によるレーザ干渉像を利用して干渉計の光路差変化をリアルタイムで高精度に計測する技術を開発し,これを用いて一定光路差変化毎の白色干渉像のフラッシュ撮影を行い,振動環境下でも正しく位相シフトされた干渉像を取り込む手法を開発した.本研究では,干渉顕微鏡の視野全域が粗面の物体であっても光路差変化をリアルタイムで高精度に計測する技術を開発し,被測定面の鏡面粗面を問わず,物体表面の段差を含む3次元形状をより激しい振動環境下でも高速高精度に計測できる新しい基盤技術の開発を目的としている. 以上の目的に沿って平成22年度では, 1. 粗面のレーザ干渉像をラインカメラを通してFPGAに取込んだ後, FPGA内で処理する手法を開発して改良し, 高速高精度な光路差変化計測部を完成させた(雑誌論文2010年) 2. 高速高感度な2次元カメラを入手し, FPGAからのトリガー信号を基に,より激しい振動環境下でも最適な位相シフト条件で白色干渉像を撮影開始できるようにした 3. 撮影開始後の露光中の外部振動による干渉光強度変化に関して,この変化の3次元形状計測結果への影響を評価し,この影響を分析して露光中の振動影響を正確に補正する手法を開発した(雑誌論文2011年) 4. 新しい超高輝度な非コヒーレント光源を入手し,入射光学系の改良を行い白色干渉像の撮影時間の短縮を図った
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