研究概要 |
本研究では,環境変動や不確かさなどを含むシステムに対して競合・協調を考慮した学習により制御系設計により形成される簡単な秩序,及び階層構造を利用して適応的に振る舞いやロバスト性を変更する適応ロバスト制御設計に関する研究を行った.サブテーマ(1)「不確かさを考慮した学習・最適化による制御系設計とそれによる秩序・階層形成」では,フライトシミュレータにロバスト性を向上のためにアウターループを追加して,その有効性の検討を行った.サブテーマ(2)「高精度な自己位置同定システムとそれによる環境・状況認識システムの開発」では,電波の往復伝搬遅延時間に基づく高精度な自己位置同定法を提案した.これまでの方法では,環境パラメータの正確な値が不可欠であったが,環境パラメータと自己位置を同時に推定する方法に拡張した.また,環境に含まれる未知パラメータである磁気偏角の推定問題では,4元数を用いることにより線形問題に帰着させ,2×2行列の最大固有値を求める問題に帰着させ,有効な計算方法を導いた.サブテーマ(3)「秩序形成・階層構造により適応的に振る舞いを変更する適応ロバスト制御系設計」では,サブテーマ(1)の結果に基づいて,無人ヘリコプタのロール角とヨー角の相互作用に着目し,ヨー角制御系のアウターループとしてロール角とその角速度をフィードバックしたときの機体の振る舞いから目標方位角を算出する適応的目標方位角生成機構を提案し,機体の対気速度方向に適応的に機首方向を一致させることを実現した.ロータに横風が直接吹き込むときにヘリコプタの飛行が不安定化しやすかったが,その状況を自律的に避けることができる方法を示し,自律飛行制御のロバスト性向上を達成した.
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