研究課題/領域番号 |
21360120
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
横川 隆一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70220548)
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研究分担者 |
積際 徹 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (90362912)
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キーワード | バイオメカニクス / NIRS / 高次脳機能 / 指の筋腱 / 静力学解析 / ロボットマニピュレータ / インピーダンス制御 |
研究概要 |
本年度は、平成21~22年度の研究成果を基に、示指モデルを用いた計算機シミュレーション、および示指の筋腱駆動系の解析を中心に研究を遂行した。筋電位計測では、平成21年度の結果では不十分であったため、計測を追加する形で実施した。また、平成22年度に構築した筋・腱駆動系モデルの精度を上げるため、MRI計測方法の改善を行った。平成21年度に計測された指先力を平成22および23年度に構築された示指の筋・腱駆動系モデルへの入力として、各筋張力を推定した。得られた結果より対象作業における外在筋と内在筋、および腱の分岐機構の役割について解析した。これらの結果と平成21年度に実施したNIRS(近赤外分光法:光トポグラフィ)による対象作業中の高次脳機能の計測結果から、次のような結果が得られた。示指の筋腱駆動系(関節軸の位置および関節軸に対する筋腱の配置)は、定量的には(数値としては)、被験者間で異なるものの、定性的(機能的)には共通する特徴を持つことが分かった。微小な指先力の調整を行うための筋腱の働きについては、被験者間でばらつきがあるものの、いくつかの場合に分類できることが分かった。その分類は、指先力を調整するために最低限必要な筋腱の数よりも、示指の持つ筋腱の数が多く、またその経路が複数存在することから説明できた。指先力の微小な操作において、指のリンク機構のもつ操作性は指の姿勢によって異なるが、指先力を制御している脳の活動は、その操作性の変化に対応するように調整されていることがわかった。これまで、運動学習の神経機構に関する研究では、脳機能の計測・解析が中心であったが、本研究の成果は、制御対象である運動器の力学的特性が運動学習の神経機構に大きく影響している可能性を示すもので、運動神経生理学の分野に新しい知見を与えるものである。
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