研究課題/領域番号 |
21360123
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
高見沢 計一 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 研究員 (10163312)
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研究分担者 |
神田 圭一 京都府立医科大学, 心臓血管外科, 講師 (60295649)
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キーワード | 再生医療 / 生体顕微鏡 / 生体組織 / 計測装置 / バイオバルブ / バイオチューブ / 弾性率 / タクタイルマッピング |
研究概要 |
本研究は、(1)タクタイルマッピングシステム(TMS)測定装置での液中測定システムの開発と高速化に関する研究、(2)血管や心臓弁をモデルとして、TMS測定によって生体組織の部位別の弾性率分布を観察する研究、(3)移植を行っているバイオチューブ人工血管やバイオバルブ心臓弁の成熟度をTMS測定によって力学的に評価する研究、(4)拍動流回路を用いたバイオチューブの生体外成熟過程を観察する研究、ならびに(5)バイオバルブ心臓弁の移植並びに拍動流負荷による成熟度を評価する研究、に細分化して進めている。本年度は、(3)に関して重点的に研究を行った。バイオバルブは、ビーグル犬(体重約10kg)の背中皮下に三葉弁形状とバルサルバ洞形状を付加したシリコーン製の円柱状基材(外径10mm又は14mm)を埋入してカプセル形成し4週間後に取り出した。組織は、主としてコラーゲンと繊維芽細胞から構成される結合組織で、組織内にスキャホールド材が全く残らない完全自己組織となった。力学的特性の評価は、コンデュイット部、弁葉、バルサルバ洞など各部位ごとに実施し、マクロ評価として引張試験および耐圧試験を実施した。ミクロ評価はタクタイル・マッピング・システム(TMS)を使用し、組織断面の表面弾性率分布を測定することで実施した。ビーグル犬の生体弁の平均耐圧が大動脈並びに肺動脈弁葉部でそれぞれ約1900mmHgと約950mmHg、大動脈並びに肺動脈壁部でそれぞれ約6000mmHgと約2300mmHgであったのに対して、凍結保存後解凍したバイオバルブの弁葉部の耐圧は約2000mmHg、バルサルバ洞部位が約5800mmHg、コンデュイット部では7600mmHg以上の耐圧が得られ、大動脈弁と同等以上の耐圧性を有していることが判明した。他の評価結果との総合判定により、バイオバルブは肺動脈弁の移植試験に十分適用でき得ると結論し、移植実験が可能と判断された。
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