研究概要 |
本研究の目的は,系統連系用三相インバータの一相PWM制御法を開発することにある。これは,系統連系用三相インバータの三相の内,二相分のパワー半導体デバイスを導通状態に固定し,一相分のパワー半導体デバイスだけをスイッチング(PWM制御)する制御方式に特長がある。PWM制御を行う一相分のパワー半導体デバイスにはスイッチング損失が発生するが,他の二相分のパワー半導体デバイスにはスイッチング損失を生じない。したがって,従来の系統連系用インバータに比べて,PWM制御に伴うスイッチング損失を少なくとも1/3に低減することができる。本研究課題では,一相PWM制御法を適用した系統連系用インバータの制御法とスイッチング損失の低減効果,高調波抑制効果を明らかにする 平成21年度は,実験回路の設計・試作と理論的な動作特性の検討を行った。回路シミュレーションにより,系統電流と直流電圧の制御特性とスイッチング損失低減効果などの基本的な動作特性を評価し,この解析結果を踏まえて,実験装置の主回路仕様を決定した。また,直流コンデンサ容量と電源インピーダンスによる共振現象を理論的に解明し,実験により共振現象が生じることを確認した。 次に,実験装置の試作を行い,スイッチング損失の低減効果と高調波抑制効果などの基本的な動作特性を評価した。実験装置の主回路には,一般的な太陽光発電システムと同様に三相系統連系インバータと昇圧コンバータで構成し,系統連系インバータと昇圧コンバータのパワー半導体デバイスとしてMOSFETを用いた。制御回路にはDSPとFPGAを用いた構成を採用し,系統連系インバータと昇圧コンバータを一括して制御する方式を採用した。さらに,実験により基本的な動作特性を確認し,従来の回路方式と同等の高調波抑制効果が得られることを確認した。
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