研究概要 |
本研究の目的は,系統連系用三相インバータの一相PWM制御法を確立し,スイッチング損失およびスイッチングノイズを低減した高効率なソーラーパワーコンディショナを開発することにある。これは,系統連系用三相インバータの三相の内,二相分のパワー半導体デバイスを導通状態に固定し,一相分のパワー半導体デバイスだけをスイッチング(PWM制御)する制御方式に特長がある。従来の系統連系用インバータに比べて,PWM制御に伴うスイッチング損失やスイッチングノイズを1/3以下に低減できる。 平成22年度は,理論的な動作特性を検討するとともに,実験回路の設計および試作を行った。回路シミュレーションにより,系統電流と直流電圧の制御特性とスイッチング損失低減効果などの基本的な動作特性を評価した。その結果,スイッチングに伴う損失は3種類の成分に分離でき,成分ごとに1/3~1/27に低減できることを明らかにした。この解析結果を踏まえて,実験装置の主回路仕様を決定し,基本設計および回路定数の最適化を行った。実験装置の試作を行い,スイッチング損失の低減効果と高調波抑制効果などの基本的な動作特性を評価した。実験装置の主回路は,一般的な太陽光発電システムと同様に三相系統連系インバータと昇圧コンバータで構成した。系統連系インバータと昇圧コンバータのパワー半導体デバイスとしてMOSFETを用いた。実験により基本的な動作特性を確認し,電源高調波および変換効率,回路損失の評価を行った。その結果,一相PWM制御を用いることにより従来の回路方式と同等の高調波抑制効果が得られることを確認し,スイッチングに伴う損失を1/7に低減できることを確認した。
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