研究課題
基盤研究(B)
線材内部のミクロ電磁現象、すなわち、磁化電流(遮蔽電流)によって発生される磁界が高温超伝導テープ線材で巻いたNMRマグネットやMRIマグネットにおいて磁界精度を損なってしまう。まず、磁化電流(遮蔽電流)が磁界精度に与える影響について実験的に調べるために、非ツイストBi-2223テープ線材で小さなコイルを巻き、その発生磁界を測定した。コイルの励磁電流を変化させたとき、発生磁界には明確な履歴効果が見られたが、これは磁化電流(遮蔽電流)が磁界精度に与える影響の証左である。6時間にわたってコイル電流を一定値に保持して発生磁界を測定したところ、発生磁界のドリフトが観測された。このドリフトは磁化の緩和に起因するものと考えられる。線材の磁化、すなわち、ミクロ電磁現象を制御して、これに起因する誤差磁界を低減する目的で、ツイストBi-2223線材の適用を行った。すなわち、ツイストBi-2223線材でコイルを巻き、その発生磁界を測定した。線材のツイストにより、磁界のヒステリシスは抑制され、また、磁界の安定度も向上した。また、電磁現象シミュレーションにより、ミクロ電磁現象を可視化しコイル発生磁界の安定性について検討した結果、ミクロ電磁現象を制御して高安定な磁界を発生するためには、線材のglass-liquid転移磁束密度、glass-liquid転移温度の向上が有効である可能性が示された。
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: Vol.20, No.3 ページ: 364-367