| 研究概要 |
本研究は,生体外部に配置された磁石による磁気力制御により,強磁性粒子を結合させた薬剤を患部局所に高濃度に蓄積させる装置を設計・開発することを目的としている.これは磁気力制御薬剤配送システム(MDDS)と考えられ,薬剤の副作用の低減や外科手術の困難な体内深部臓器の治療に貢献できると期待される
当該年度においては,昨年度に引き続き,低侵襲の手法である強磁性針を用いた強磁性薬剤の局所集積の臨床応用に向けた検討を行い,さらにその次の段階として,非侵襲な手法による体外からの遠隔制御による体内深部への強磁性粒子の集積の検討を行った
まず,超電導バルク磁石と強磁性針を用いた手法では,模擬毛細血管モデルを用いた強磁性粒子の粒子軌跡計算,および集積実験の結果に基づいて動物実験を行い,実際の臓器の特定部位への局所集積の条件を検討した.その結果,ラット肝臓に挿入した強磁性針先端部において,強磁性粒子の集積が定量的に確認された.このことから,強磁場と強磁性針によって,生体内深部の局所部位に磁性薬剤を集積させることが可能であることが示唆された
次に,非侵襲の手法による体内深部への強磁性薬剤の集積については,標的部位を軸として生体を超電導バルク磁石の磁場中で回転させる手法を用いた.このことにより,軸中心には一定の強い磁場が印加され,他の部分では生体に印加される磁場が変動することによって,体内深部の標的部位にのみ磁性薬剤を集積させることができると予想した.模擬臓器を用いて強磁性粒子の集積実験を行った結果,軸中心にある模擬臓器において,他と比較して高濃度の磁性粒子の集積が確認された
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