研究課題
本研究は,生体外部に配置された磁石の磁気力制御により,体内深部の目的臓器の局所部位に,強磁性粒子を結合させた薬剤を高濃度に蓄積させる手法を設計・開発することを目的としている.強磁性針と外部磁場を用いた低侵襲の薬剤の局所集積,および変動磁場を用いた非侵襲非接触手法での薬剤動態の制御を試みた.その結果,生体内深部への強磁性薬剤の局所集積の可能性が示された.具体的には次の二つの方針を立て研究を実施した.すなわち①生体を対象とし,強磁性細針を使用した薬剤局部集積の可能性の検討.②模擬動物を用いた変動磁場による非侵襲的強磁性薬剤の体内深部集積の検討.前者はラットを利用した低侵襲薬剤集積である.強磁性細針を標的部位(肝臓)に配置し,0.7Tの均一磁場下で,門脈より強磁性微粒子(マグネタイト:粒子径~100nm)懸濁液(20㎎/L)を500μL注入し,細針表面に強磁性粒子の集積を実現した.この強磁性粒子誘導は,計算および模擬動物実験シミュレーションにより設定した境界条件で行い,工学的設計が可能であることを実証した.後者は,体内深部への局所集積の可能性を実証した研究である.一方向からの静的磁場の印加では,体内の表面近傍における薬剤集積が多くなる.そこで,標的部位を中心として磁石を回転させ,非侵襲的に体内深部の標的部位に強磁性薬剤を集積させつつ他の部位での集積を低減する手法を提案した.複数の毛細血管を配置した模擬臓器を想定し粒子軌跡計算によって,回転磁場における血管内での強磁性粒子の挙動を検討した.回転軸上にある毛細血管内には蓄積するが,それ以外には蓄積しないことを見出した.さらに複数の毛細血管を配置した模擬臓器モデルを作製し,実験によって計算結果の妥当性を検証した.これらのことによって,磁石から離れた体内深部へ非侵襲的に薬剤の蓄積が可能であることを実証した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE TRANS.APPL.SUPERCOND
巻: VOL. 22, NO. 3 ページ: (s)4903804