研究概要 |
本研究の目的は,無機ハイドライド燃料を用いた水素タンクレス軽型燃料電池自動車(FCHEV)の開発である。本研究では,無機ハイドライドのうち,ナトリウムボロハイドライドを採用している。ナトリウムボロハイドライドは,触媒存在下で水を加えると加水分解により水素ガスを発生するが,ナトリウムボロハイドライド自体に含まれる水素のほか,水分子に含まれる水素もガスとして発生する。この水素を用いて燃料電池を動作させることによりFCHEVの駆動に必要な電力を得る。本研究では,燃料電池で発電時に生成される水を再循環させることにより水素生成システム全体の容積を減らすことを提案している。 今年度は,昨年度コントローラを積み替えた軽型電気自動車(EV)のモータ制御プログラムを変更し、走行実験を行い比較検証した。また、燃料電池の電圧と電気二重層コンデンサ(EDLC)をの電圧をEV駆動用の240Vに昇圧するための電力変換回路のそれぞれについて動作試験を行ったほか、それらを組み合わせて実験室内でFCHEVの走行を模擬した各種動作モードで試験を行い、適切に動作することを確認した。水素生成装置により得られた水素を燃料電池に供給し、問題なく発電できることも確認した。この実験により、水素生成器の容量増加が必要であること、及び水素供給量の制御の検討が必要であることが明らかになった。なお,永久磁石同期電動機の高効率駆動法などについても引き続きシミュレーション等で検証した。 今年度に得られた成果の一部は,国内の学会や国際会議で発表を行った。
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