研究概要 |
本研究の目的は,電気自動車の4輪駆動を行うため1組の5レグインバータで2台の三相交流電動機のトルクと速度を独立に制御できる方式を研究開発して,電気自動車駆動推進システムを確立することである。 すなわち,1台のインバータで容量の大きい交流電動機で前輪を駆動し,容量の小さい交流電動機で後輪を駆動して前輪と後輪にバランスよく駆動推進力を付与して自動車全体の電気エネルギー利用効率を改善し省エネルギー化を図る。さらに2モータの制御装置を一体化することによる小型軽量化と省資源化を図ることができる。本研究のインバータ回路トポロジーは従来にない方式の提案であり,独創的発想の研究であると考える。さらに本研究の方式は,一般産業の鉄板圧延,製紙巻き取り機や印刷輪転機の2速度トルク制御システムにも適用できる技術的内容を持っている。 本年度は研究の初年度であり,5レグインバータ装置とその制御システムを製作し,2モータ負荷試験装置を特注購入して実機実験を行うことができた。まず5レグインバータで2台の三相誘導電動機を独立に速度制御を行うPWM制御法の拡張2アーム変調法を考案して開発し,諸特性を明らかにした。次に,同インバータで2台の三相永久磁石形同期電動機の位置・速度が独立に制御可能なPWM制御法を開発した。電気自動車の駆動には誘導電動機あるいは同期電動機を用いているので2種類の交流電動機に適用可能な5レグインバータのPWM制御法を開発して実機実験で検証した。これらの研究成果は,論文誌論文として1編,さらに国外で2回,国内で1回の国際会議で発表し論文集に掲載された論文は4編であり,国内口頭発表論文は3件であるので本年度の所期の目的を達成している。
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