研究課題/領域番号 |
21360150
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥山 雅則 大阪大学, 名誉教授 (60029569)
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研究分担者 |
金島 岳 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30283732)
寒川 雅之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70403128)
RICINSCHI Dan 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特任准教授 (60403127)
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キーワード | 強誘電性 / 強磁性 / 物性実験 / 電子・電気材料 / 結晶成長 |
研究概要 |
キュリー点、ネール点が高く室温で強誘電性と強磁性を併せ持つマルチフェロイックの代表的物質BiFeO_3(BFO)はデバイス応用の観点からも魅力ある電子材料である。さらに、申請者等によりレーザアブレーション法により薄膜作製が行われ166μC/cm^2という巨大な自発分極を持つこと(PZTやPbTiO_3の約1.5倍)が発見された。しかし、磁性は反平行スピンが並ぶため反強磁性でスピンのキャンティングにより小さな磁化しか持たない。そこで、磁場印加レーザアブレーション(PLD)法により作製し、スピンを部分的に反平行以外に変え、強磁性の増大を図った。 まず、BFOおよびCo置換BFOについて第1原理計算を行い、BFOで大きな電気分極とlowスピンCo置換により磁化が増大することから、上記薄膜作製で生じる欠陥などによっても磁気増大すると期待された。次いで実験的には、レーザアブレーション装置内のターゲットと基板ホルダーを取り囲む円筒型超伝導磁石を設置し、0-0.4Tの磁場を印加してPt/TiO_2/SiO_2/Si基板上にBFO薄膜を作製した。磁場の増加とともにPlumeの軌道がダイナミックに変わり、堆積速度も上がった。0.4Tでは磁場無に比べ、約5倍となり、30分蒸着で1.8μmの厚い膜が得られた。特に、磁場中作製されたBFO薄膜の断面構造は柱状の構造に形成されており、Crack freeで厚い膜ができた。結晶構造がランダムから(100)優先配向と低角度側にシフトし、膜厚方向に伸びていた。また、強誘電特性では室温で飽和した分極ヒステリシスが得られ、残留分極は63μC/cm^2であった。さらに、圧電特性についても磁場印加により52pm/Vの増大した圧電定数(d_<33>)が得られた。磁化ヒステリシスから残留磁化は磁場無で4.1emu/cm^3から磁場有で5.4emu/cm^3まで増加した。 この結果から今後、短時間での厚い膜の作製とともに柱状の構造によるCrack free厚い膜が作製できることからMEMSや圧電センサ用鉛フリ材料そして磁気電気transducerにも応用が期待される。
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