平成23年度はこれまでに構築してきた独自の積層量子ドットを利用したSOAデバイスの試作と評価を行った。またこれら成果をフィードバックして最適なデバイス構造を決定した。特に、デバイス構造における基礎光学的特性(発光波長および帯域、偏波特性、吸収飽和ダイナミックス)と偏光光利得を詳細に調べたのでその結果について概要を報告する。 ◆量子ドット活性層の光利得の計測【小島、喜多】 活性層に利用している量子ドットの光利得スペクトルを明らかにするために、Hakki-Paoli法による解析技術を構築した。Hakki-Paoli法は共振器によってできる干渉信号の解析によって利得のスペクトルを得る手法であり、非常に一般的に用いられている精度の高い解析技術である。本年度この解析技術を用いて、InAs/GaAs量子ドット光アンプ構造の利得スペクトルをくわしく調べた。われわれが開発している量子ドット光アンプは20meV以上の広帯域で利得を示し、注入電流によるBand Fillingの効果を確認した。また、光利得ダイナミックスについて超高速分光技術を駆使した評価を実施した。そ結果、積層した量子ドットに於いて光利得に(001)面で異方性が出現すること発見した。 ◆積層量子ドットSOAの試作【富士通研究所・安岡(研究協力者)、喜多】 昨年に引き続き、p-i-n構造における内部電界を考慮した積層量子ドット活性層を設計し、AIGaAsクラッド層で挟み込んだSOA素子を試作した。 ◆SOAデバイス特性評価【喜多】 昨年に引き続き、SOAデバイスの基礎特性を精密に評価して下記のデバイス利得特性を明らかにするため、上で述べたような利得スペクトルの偏波特性に及ぼす積層構造および印加電界の影響を明らかにした。
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