研究課題
1)ボトムゲート型TFTn型半導体をチャネルに用いた場合、ON時にはチャネルと強誘電体の内部に存在する自発分極の方向が同じ向きとなり大きなON電流を得ることができない、OFF時には自発分極の方向が反並行で分極が不安定となり記憶保持特性が劣化することを予想していた。しかしながら、比較的大きなON電流と10000秒以上の記憶保持特性を得ることができ、容易にデバイス動作した。このように、分極の効果が予想された結果と食い違っていた。これは、ゲート強誘電体の分極方向が制御できていないためであると考えている。22年度は、ゲート電極上に強誘電体を成長するときに分極方向を制御することや界面への分子修飾を試みる。チャネル領域の分極方向を制御することによって分極間相互作用がTFT特性に及ぼす効果を詳細に調べることができる。2)トップゲート型TFTn型半導体をチャネルに用いた場合、ON時に自発分極の方向が反並行となり大きなON電流を得ることができる、またOFF時には自発分極の方向が同じ向きになり分極が安定するために、長い記憶保持特性が期待できる。従って、トップゲート構造において最も分極間相互作用を有効に利用できると考えられるが、実験的には大きなON電流を得ることには成功していない。ゲート幅を100nm以下にする等を試みて、単結晶チャネル分極機能型FETの作成プロセスを確立する必要がある。3)学術的課題極性界面におけるポテンシャル不連続の緩和機構としては、空間電荷やキャリアの発生、分極反転、バンドベンディングなどが考えられるが、半導体物性のような指導原理は存在しない。今年度は、本トランジスタの等価回路を作製した。チャネル領域にリアクタンス成分が生じているなどの問題点も明らかになった。
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