1.縦続接続型スポットサイズ変換器(SSC)の低損失化 これまで実験的に得られている、光ファイバとSi細線導波路との結合損失の最低値は2.6dBであった。散乱損失の要因が大きいと考えた。散乱の原因は、電子ビーム露光に起因する面内テーパの側面の凹凸と、高周波スパッタによる垂直テーパ形成時の表面凹凸であるとの予想に基づき、これらを改善して1.9dBの損失値を達成した。 2.新型レンズドファイバによる極小集光ビームの形成 申請者らの発明によるシリコンベースの新しいレンズドファイバは、ファイバ先端に微小な平凸Siレンズが形成されており、ファイバのコアを伝搬してきた光を、その小さな曲率半径(5~10μm)と大きな屈折率(3.5)によって極小ビーム径に集光させる。従来の作製手順は放電による凹面の球面化を行っており、正確さと再現性に問題があった。そこで、多モードファイバ用の、屈折率が2乗形をしたファイバプリフォームを、研究協力者が所属する企業に依頼して単一モードとなる条件に設定して線引きしていただいた。これにより、エッチングのみで理想的かつ再現性良く、微小平凸レンズを形成できる技術を確立した。集光スポット直径が波長(1.55μm)以下の1.1μmを実現できた。 3.サブ波長格子によるTHz帯Si反射防止(AR)構造の開発 機械的およびレーザ加工を用いて1次元および2次元のサブ波長格子をSi表面に形成してAR効果を持たせることができた。 4.金属薄膜サブ波長格子からなる偏光子の研究 金の薄膜を、サブ波長格子を刻んだ樹脂基板上に成膜して偏光子を作製した。テラヘルツ帯において、50dB以上の消光比、1dB以下の挿入損失を得た。
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