研究概要 |
本研究では、周波数を連続的に変化させることのできる高出力テラヘルツ光源であるGyro BWOを開発し、有効な高出力光源がないために、これまでなし得なかったポジトロニウムのエネルギー準位差(HFS)の直接測定を行うことにより、HFSを高い精度(約1ppm)で測定し、理論値とのずれを解明するための光源として応用することにより、永年の問題に決着をつける実験のために活用する。 本研究で開発する周波数連続可変203GHz帯Gyro-BWOを設計するにあたり、既存の電子銃駆動用高電圧電源装置(陰極電源:30kV,0.5A,CW,及び陽極電源:20kV,50mA,CW)及び無冷媒超伝導マグネット装置(最高磁場:10T,室温ボア径:100mm,磁場一様性:直径10mmの球内での磁場変化0.1%以下)を有効に活用することを前提として、Gyro-BWO管の最適化設計を行った。 1)設計の基本方針と設計の検討:上記の既存設備を活用して開発するGyro-BWOの設計を行った。動作モードとして、シンプルな基本モードであるTE02モードを採用し、競合モードであるTE22及びTE12モードの抑制をするための方法を考案した。電子ビームのメインパラメーターである速度比(速度の磁場に垂直な成分の平行成分に対する比)及び速度広がりは、通常のマグネトロン入射型電子銃(MIG)で可能な標準的な値に設定した。2)高性能モードコンバーターの設計と製作:動作モードであるTE02モードを高効率で動作させるため、競合モードであるTE22及びTE12モードを抑制するモードコンバーターの設計を行った。
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