研究概要 |
シミュレーションによって予測された高誘電率、低損失の人工誘電体共振器を実現すべくディスク状共振器,方形共振器を試作し前者は円筒状シールド容器の中で、後者は方形導波管中に装填して測定を行ったが、比誘電率はせいぜい100程度、無負荷Qも300程度しか得ることが出来なかった。これは目標値の1/10~1/3程度にしか成らない。 その原因を解明するために人工誘電体の媒質定数測定法を考案し,特に異方性媒質であることに対応できるような工夫を導入した。その結果、上記の予想外の結果はサンプル作製時に用いる接着剤(アロンアルファ)が厚くなりすぎてサンプルの厚さを増した結果、等価誘電率を大幅に下げたこと、さらにtanδが予想以上に悪く,作製した共振器のQを下げていたことが判明した。このために上記のような貧弱な共振器特性とレンズアンテナの低利得が生まれたと考えられ,次年度はこの問題点の除去によって大幅な特性改善を図ることが出来る。 まず接着剤としてエチレン系を選ぶことによって低いtanδが期待できると思われる。それがうまくいかぬ時はポリエチレンシートを接着すべき基板間に挟み恒温槽で加熱圧着することを試みる。更にメーカーの基板作成過程にまで戻り,プリプレグを利用する事によって問題の解決が図れるものと考えている。
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