研究概要 |
UWBアンテナ班(松井)は,人体表面におけるUWB信号の大きな反射を低減すべく,昨年に引き続きテーパースロットアンテナ(TSA)について検討した.特にTSA外形形状に対する入力インピーダンスの変化を調べた上で,導体ルーフ装荷によるTSAの放射特性の改善や,体外にアンテナアレイを用いることを想定した導体ルーフ装荷型TSAの素子間相互結合の影響について基礎的な検討を実験的に行った.この結果,導体ルーフ装荷により一定量利得改善が行えること,素子間相互結合が低減できることを確認した. パルスレーザ班(野中,塙,佐)は,高安定短光パルス源が必要とされる各種アプリケーションに開発した短光パルス源を適用し,その高い安定性を実験的に評価した(野中).また従来パルスパターンジェネレータ(PPG)を用いてきた光源駆動信号源の小型化と性能改善のために,HEMTで構成したバルク型微分回路による短パルス駆動信号回路の開発(塙)と集積回路型小型発振器の開発(佐藤)を行った。さらに従来用いてきたDFB-LDよりも構成が簡素で安価な反射型半導体光増幅器を光源とするパルスレーザダイオードモジュールについて実験的に検討し,反射型半導体光増幅器の利用により簡素な短光パルス源が実現出来うることを示した(塙). UWBシステム班(塙)は,人体腹部を模擬するPVAゲルファントムの開発と,これを介在したUWBインパルス伝搬実験,人体組織に比較的電気特性が類似していると言われる食用豚精肉を介在したUWBインパルス伝搬実験を行い,生体組織を介在したUWBインパルス伝搬特性について明らかにした. 光信号処理班(塙)は,UWBインパルス列のスペクトルスクランブル法の光学的実現方法について検討し,最終年度の原理確認実験に向けて必要備品の整備を行った.
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