研究概要 |
本年度は,まず研究計画に従って,SCS,音声・ビデオ間最適帯域配分,インタラクティブ通信(送信符号化レートと受信バッファリング時間の最適組合せ選択制御)の研究を行った.加えて,QoE向上に有効である新たな項目の検討も行った. SCSについては,FMOがQoEに及ぼす影響を調べ,スライスグループマップタイプとしては,インタリーブよりもディスパースの方が高いQoEを達成しうることを示した.更に,誤り補償とフレームスキップ切替の適切な閾値選択のために,新たに2種類の方法(表参照方式,ユーザ選択方式)を考案し,従来のQoE推定方式と比較することによって,提案方式の実現可能性を立証した. 音声・ビデオ間最適帯域配分制御については,ビデオGOP,ビデオ出力制御方式(誤り補償,またはフレームスキップ),コンテンツタイプの違いが,QoE最大化のための最適帯域配分に及ぼす影響を調べた. インタラクティブ通信については,一定帯域幅を割り当てる帯域保証サービスを対象とし,QoEが最大となるビデオ符号化レートと受信バッファリング時間の組合せが存在し,それは作業内容に依存することを示した. 新たに着手した項目として,まず,無線アクセスネットワークと多視点ビデオ(Multi-View Video : MVV)の研究が上げられる.前者では,ユビキタス環境での音声・ビデオ伝送QoE保証を実現するために,IEEE 802.11e HCCAとIEEE 802.16におけるクロスレイヤパケットスケジューリング方式を提案した.後者については,MVVがQoEの向上に有効であることに着目して,MVVに音声も加えたMVV-Aのシステムを取り上げ,QoE評価の基礎的検討を行った.この他,ルータのスケジューラがQoEに及ぼす影響,遠隔学習におけるQoEと学習効率,多地点IP通信におけるリアルタイム型遠隔対話環境におけるQoE等の評価も行った.
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