研究概要 |
本年度は,交付申請書に記載した3項目と,QoE研究の応用としての遠隔講義教育効果の評価の研究を実施した. 1.SCSの高機能化・高品質化 まず,時変トラヒックに有効に対処する閾値選択方式の研究を発展させ,QoEの定量的な評価を行った.次に,実用的と考えられる閾値選択方式であるユーザ選択方式を取り上げ,複数種類のGUI(Graphical User Interface)を提案し,QoEの観点から有効性を検証した.加えて,2009年度に検討した,SCSへのFMO(Flexible Macroblock Ordering)の適用も発展させた. 2.多視点ビデオ・音声(MVV-A)によるQoE向上 昨年度まで検討していたクライアント・サーバ型のMVV-Aシステムを,対等インタラクティブ通信システムへ拡張する研究を行った.インタラクティブ通信の特徴を表現できる作業を考案し,その作業をMVV-Aシステムで実行する場合のQoEと単一視点ビデオ・音声(SVV-A)システムで実行する場合のQoEとを,14個の形容詞対を用いたSD(Semantic Differential)法により比較した.その結果,MVV-AはSVV-Aよりも高いQoEを達成することを明らかにした. 3.力覚メディア・音声・ビデオ通信によるQoE向上 最初に,昨年度に提案したメディア適応型メディア内同期制御方式を,メディア毎に適切なプレイアウトバッファリング時間を用いる方式に拡張した.そして,その拡張方式を,Skippingを力覚メディア,プレイアウトバッファリングを音声・ビデオに用いる方式,及び同一のプレイアウトバッファリング時間を3メディアに適用する方式の二つと,QoE多次元評価により比較し,拡張方式の有効性を明らかにした.更に,音声・ビデオの高品質化がQoEに及ぼす影響の評価も行った. (4)板書型遠隔講義における教育効果に影響を及ぼす要因の明確化
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