| 研究概要 |
ミリ波レーダは対象物からの反射波を測定し,相対距離や速度等を検知する装置であり,高速かつ高機能信号処理技術の開発とミリ波送受信モジュールの小型・低コスト化が必須である.更に,瞬時に,前方を走る車の位置と大きさを推定することが不可欠となる.一方,車室内においても電波源が多くあるため,近傍の電波波源の位置推定を行う方法が求められている.本研究は,車載ミリ波レーダにおいて目標物の位置と広がりを検出するための高分解能波源推定技術を研究開発するものである.また波源が近傍にある場合,その位置を特定する手法についても検討をする.以下に本年度の成果を示す.
1.角度広がりのある到来電波の到来角度と広がり角の推定
昨年度に引き続き,簡易に到来波の到来角と広がり角を推定するアルゴリズムについて検討を行った.積分型モードベクトルを用いる従来法と比較し,ほぼ同程度の特性が得られることを確認した.
2.到来波数推定を含めた到来波の方向推定
到来方向推定は到来波数を既知として検討することが多かったが,本研究では到来波数推定も処理に含めた総合的推定法の検討を行った.その結果,固有値展開を行わない計算負荷の小さい推定法の優位性を示すことができた.
3.広帯域近傍波源の位置推定
波原位置推定ができるDOA-Matrix法と最尤推定の一つであるSAGEアルゴリズムを組み合わせた推定法の改良を行った結果,波源が広帯域信号であっても推定ができるようになった.
4.任意配列アレーを用いた到来方向推定のためのアレー校正法
任意配列のアレーアンテナに高効率アルゴリズムを適用するためにアレー形状変換手法およびアレー校正法について検討した.その結果,コヒーレント部分空間法に基づくアレー形状変換を任意配列アレーに施し,フーリエ変換と補間法を新たに導入することによって,複数波の到来方向を高効率・高精度に推定することが可能となった.
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