研究概要 |
光通信ネットワークでは,伝送,増幅,スイッチング等の処理により光信号の各ビット間に強度揺らぎが生じる.これら光信号の強度揺らぎは信号のS/N比を悪化させ,データの誤り率を増加させるため,補償を行う必要がある.本研究では、この光信号の強度揺らぎの補償において、対応可能な入力光強度のダイナミックレンジを飛躍的に拡大することを目指している。従来の単純なバンドパスフィルタリングを用いた光信号の強度揺らぎの補償方法では,自己位相変調現象による入力強度の増加による中心周波数成分の減少を用いている.しかし,一般には中心周波数成分の減少の効果が強すぎることにより,自己位相変調現象後の出力光強度レベルが理想の強度レベルよりもはるかに小さくなってしまうために,対応可能な入力光強度レベルのダイナミックレンジが非常に狭くなってしまうという大きな課題を抱えている.平成21年度は、中心周波数成分の減少効果の制御方法を検討することを目的として、1) 時間-周波数分布表示のアシストによる解決法の抽出および2) 次年度の予備実験を中心に進めた。検討の結果、これまで明らかとなっていなかった中心周波数成分周辺での物理的な状況を明らかにする糸口を掴んだ。また、その知見をもとに時間波形の適切な制御方法を検討した結果、中心周波数成分の減少の効果を制御するための入力信号波形に適切な変調をあらかじめ印加することにより所望の中心周波数成分の減少の効果の制御の可能性を見出した。今後、得られた知見を一般化するために、さらに最適化を計算機シミュレーションをもとに検討していく予定である。
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