研究概要 |
光通信ネットワークでは,伝送,増幅,スイッチング等の処理により光信号の各ビット間に強度揺らぎが生じる.これら光信号の強度揺らぎは信号のS/N比を悪化させ,データの誤り率を増加させるため,補償を行う必要がある.本研究では、この光信号の強度揺らぎの補償において、対応可能な入力光強度のダイナミックレンジを飛躍的に拡大することを目指している。従来の単純なバンドパスフィルタリングを用いた光信号の強度揺らぎの補償方法では,自己位相変調現象による入力強度の増加による中心周波数成分の減少を用いている.しかし,一般には中心周波数成分の減少の効果が強すぎることにより,自己位相変調現象後の出力光強度レベルが理想の強度レベルよりもはるかに小さくなってしまうために,対応可能な入力光強度レベルのダイナミックレンジが非常に狭くなってしまうという大きな課題を抱えている.平成22年度は、平成21年度の検討結果を踏まえ、1)入力時間波形の制御による安定した強度依存スペクトルパターン生成によるアプローチの検討および2)入力時間波形の制御による特徴的な強度依存スペクトルパターン生成によるアプローチの検討を進めた。その結果、特に高精度化に関して、安定した強度依存スペクトルパターン生成によるリミッタ機能が得られ、10Gbpsでの安定化に成功した。それらの検討結果を国際会議の招待講演などで発表した。今後は、更に高いビットレートへの適用と接続する非線形光信号処理の安定化の実現を目指す。
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