研究概要 |
光通信ネットワークでは,伝送,増幅,スイッチング等の処理により光信号の各ビット間に強度揺らぎが生じる.これら光信号の強度揺らぎは信号のS/N比を悪化させ,データの誤り率を増加させるため,補償を行う必要がある.本研究では、この光信号の強度揺らぎの補償において、対応可能な入力光強度のダイナミックレンジを飛躍的に拡大することを目指して研究を行った.従来の単純なバンドパスフィルタリングを用いた光信号の強度揺らぎの補償方法では,対応可能な入力光強度レベルのダイナミックレンジが非常に狭くなってしまうという大きな課題を抱えていた.本研究では,波長フィルタリングと強度依存スペクトルパターン生成の双方をバランスよく機能させることにより強度揺らぎ補償範囲の拡大および強度安定化の高精度化を検討した。平成23年度は、平成22年度の検討結果を踏まえ、1)更に高いビットレートへの適用と2)接続する非線形光信号処理の安定化の検討を進めた。その結果、特に10Gbpsを超える高ビットレートの信号に対する検討に関して、40Gbpsの信号に対するリミッタ機能をシミュレーション実験により確認した。また、接続する非線形光信号処理として、スーパーコンティニューム光発生のための種光パルスの安定化の効果の検討を進め、広帯域光源の安定化への適用可能性を明らかにした。それらの成果を論文および学会において発表した。本研究の成果より、当初の目的である対応可能な入力光強度のダイナミックレンジの飛躍的な拡大だけでなく,高繰り返し信号に対する適用可能性、強度安定化の信号を後続の光信号処理に利用可能であることなどを明らかにした。
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