本研究は、地球温暖化に関わる温室効果ガスの排出抑制に関する課題を、携帯機器を通して得られる情報を組織化することにより系統的に解決することを目的として実証的研究を行うものである。 第二年次である平成22年度は、次の事項からなる研究を実施した。 (1)携帯機器のユビキタス性に着目し、機器が装備しているGPS位置情報に基づく情報収集を具体化した。現在、国土交通省では交通実態調査を実施しているが、そこでは、無作為に抽出された車両(乗用・貨物等)の移動目的・積載内容・移動距離・移動時間等を筆記により提出を求め、政府で使用する車両のエネルギー消費に関する唯一の基本情報として活用している。しかし情報の精度が協力者に委ねられ、協力に負担を強いている。この現状を改善し、本目的にかなう情報収集機能を携帯端末に実装し、GPS測位情報と共に、協力車両から受信し蓄積・体系化するために同省と連携して、プロトタイプを開発した。そこでは携帯機器(iPhone)を使用し、協力者に負担のかからない方法で情報項目(移動目的・積載内容等)を入力し、車両の走行情報(移動距離・移動地域・移動時間等)はGPS測位情報を定期的に受信することで自動蓄積している。本作業には、研究協力者(米田・笠・劉)が参加した。 (2)ITUで活動を継続している作業部会(FG-FN)に参加し、標準情報収集モデルの標準開発を実施した。同時に国内標準化組織への連携を強め、ITUにおける「将来ネットワークビジョン勧告草案(Y.3001)」の開発に大きく寄与した。本活動には、研究協力者(米田)が参加し、ITU会合へ出席した。
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