研究課題/領域番号 |
21360190
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
浅野 正一郎 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (50092119)
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キーワード | 気候変動 / モニタリング / 地球システム / モデル化 / 情報通信ネットワーク |
研究概要 |
第三年次である平成23年度は、以下の事項からなる研究を実施し、成果を得た。 (1)携帯機器から取得する温暖効果ガスに関する一次情報を蓄積・組織化するために、スマートフォンを所持し車両を運行することで、移動距離、移動時間、移動ルートを自動モニタリングする方式を提示し、国土交通省総合政策局とともに、同省が実施している交通流動態調査に採用するための可用性評価を実施した。また予め登録されている車輔の燃料消費データから、個々の走行により消費した燃料と温暖効果ガス排出量を算出することを可能とした。同時に、同省交通政策審議会委員として同環境部会が取り纏めている日本の環境対策基本方針に、ICT(ユビキタス・デバイス)による一次情報の蓄積と組織化への取り組みの重要性を記述することができた。 (2)ITUにおいて「将来ネットワーク・ビジョン勧告(Y.3001)」の取りまとめに主体的に参加し、勧告草案の取りまとめに成功した。この勧告には、環境一次情報のネットワークによる蓄積と活用をモデル化している。 (3)コペンハーゲン大学、国際学術組織であるEAEREと連携し、気候変動に関する国際学術研究で活用する温暖効果ガスの共有と活用態勢の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
日本の基本統計である交通流動態調査に本研究成果の活用が図られる目途がついた。同時に、この活動を支援する意味で、日本の環境対策基本方針に、本研究の環境一次情報の蓄積と組織化の重要性を記述することができた。さらに、国際的な活動に発展させるために、ITUの将来ネットワークビジョン勧告に取り込むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
車両が排出する温暖効果ガスの一次情報を蓄積するためには、日本国内でも数百万台の走行車両からの走行データをリアルタイムに蓄積する必要がある。このような一次情報蓄積システム(データベース)は、書き込みリアルタイム性能とGreen性能(省電力データベース)であることが求められ、このようなデータベースを実現する方策につき、FlashメモリによるSSD(半導体ディスク)を活用することが話題となっており、amazon.comにおいても試行的な運用が発表されている。平成23年度はこの予備検討を進めたが、次年度は実用性に関する評価を進め、情報蓄積と組織化への活動全体に亘る環境志向を強化する所存である。
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