研究分担者 |
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90352525)
半田 久志 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60304333)
塩瀬 隆之 総合博物館, 准教授 (90332759)
小北 麻記子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00389694)
谷口 忠大 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (80512251)
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研究概要 |
本研究課題の目的は,便利の追求で見過ごされてきたが実は人間-機械系においては本質的に重要であった事項を整理し直し,各種デザイン(日用品,施策など)の実践を通して,新たな設計指針あるいは方向性を明らかにすることである.これに向けた2011年度の成果を以下に示す. [総論(川上)]本研究課題の着想を得た萌芽研究やそれ以前の考察,さらには本研究課題実施中に得られた知見や事例をまとめて,本年度には一般啓蒙書を出版した.本研究課題の目的と意義を世に問うものであると同時に,各研究分担者には研究課題実施における思想的アンカーとしての利用が期待される. [場のメカニズムデザイン(谷口)]コミュニケーションに制度という不自由を与えることで,不便のなかから新たな気づきやダイナミクスが生まれるコミュニケーション支援のあり方としてコミュニケーション場のメカニズムデザインを提案し経済学の研究との相互作用も含め研究を行った.OSの開催も行い,学際的な領域形成を進めた.また,前年度に提案したビブリオバトルが全国的な広がりを見せ,ゆうに20件を超すメディア報道も受けている. [意匠デザイン(小北)]義手のリデザインについて、情報収集を行い、実装に向けての環境を整備した。 [情報伝達系デザイン(須藤)]前年度に提案したモデルに従ってマルチエージェントシミュレーション実験を実施した.ロコミによる情報伝達を想定したレギュラー,地域コミュニティを想定したスモールワールド,インターネット上のメディアを想定したスケールフリーの3種類のネットワークを用いて実験を行い分析した結果,スケールフリーネットワークで情報交換を行ったコミュニティは協調的な行動が抑制されることがわかった. [インタフェースデザイン(平岡)]今年度からインタフェースデザインをターゲットに加え,比較検証実験を開始している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的アンカーとすべく,本研究課題の目的と意義は,二年目に総説論文として学術雑誌に発表した.次いで,学術論文の内容ではないが当該研究を説明するために不可欠な内容(多くの事例を列挙した上での帰納的な説明など)は,二年目から執筆を始め,平成23年度には一般啓蒙書という形式で出版された.研究分担者が各人の研究領域で実践している研究は,進捗に差はあるものの,たとえば場のメカニズムデザインにおける実践は,多くのメディアで取り上げられ,当初計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定に加えて,五年計画の中締めを加える.すなわち初年度から平成23年度までに実施した研究内容を当研究テーマとの関連を明確にして,計測自動制御学会の学会誌にて特集を組む.すでに本研究課題の研究分担者だけでなく,他にも数名の方に執筆を依頼しており,特集号は平成24年度中に出版が予定されている.
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