研究概要 |
浮上質量法を応用し,実用的な力センサの動的校正・補正法を開発し,「力センサの動的校正法が存在しない現状」を打開すること目的として,「1.動的校正法の開発」,「2.動的誤差補正法の開発」,「3.計測評価システムの開発」の3テーマについて,それぞれ下記のような研究を行った. 1.動的校正法の開発:これまで用いてきた計数カウンタに変わり,高速デジタイザを用いてドップラー周波数を測定することで,力センサの動的特性をより高精度に測定可能になった.その中で,新しい周波数推定手法であるZero-crossing fitting methodを開発した.他にも,要素技術として,安価で高精度な動的応答特性の計測が可能な振り子式材料試験機,および高速な往復運動の計測を可能とする二重ビート周波数レーザー干渉速度計を開発した. 2.動的誤差補正法の開発:1.により計測された力センサの動的誤差と力センサの感受部の加速度および力センサの出力の2階微分との関係から,力センサの出力のみから動的誤差を算出し,補正を行う手法を開発した.力の加えられた時間(パルス幅)に応じて補正の有効性が変動するため,補正手法が適用可能な範囲を明らかにした.補正に用いるパラメータを同一モデルの3個体について計測した所,経年による値の変化や個体間の差がほとんどゼロであることが明らかになった.補正前と補正後の力センサの出力波形から,その不確かさを推定する式を導出した. 3.計測評価システムの開発:これまでの研究結果のまとめとして,力センサの出力と動的補正パラメータを入力することで,力センサの動的誤差の補正を行い,補正結果,補正前との差,パルス幅,推定される不確かさを出力するソフトウェアを開発し,インターネット上で公開した.
|