研究課題
石油価格の高騰を受け、北アメリカやメキシコではこれまで採算性が悪く利益の出なかった油井が見直される状況にあり、新規油井開発のための効率のよい地下資源探査技術の開発は急を要する。SQUID磁気センサは低周波において超高感度特性を示すので、これを用いて石油やガスなどの天然地下資源を探査するための低磁場NMR(核磁気共鳴)装置を開発することを目的とした。この方式では分極磁場を増大させることが課題となる。そこで分極磁場増大によりNMR信号強度を向上させるために、SQUIDとピックアップコイルを分離したピックアップコイル、インプットコイル、共振用キャパシタ、読み出し用SQUIDから成る常伝導共振型磁束トランスを開発した。システム周辺の地磁気強度は約41.2μT(1Hのラーモア周波数:1755Hz)であったため、共振回路の周波数が1755Hzとなるようキャパシタ容量を調整した。このときの磁束トランスのQ値は14.3、信号振幅の増幅率は12.9となった。このように信号を増幅してSQUIDに伝達できることから、本システムの信号雑音比(S/N)は、SQUID単体を使用した場合より3.7倍高くできることがわかった。最終年度はさらに信号雑音比を改善するとともに、磁化(およびその緩和)速度を表す縦緩和時定数T_1を計測できるよう研究を進める予定である。物質の磁化はM∝1-e^<-t/T1>と表すことができるので、T_1を調計測することで物質の特定が可能となる。これによって水および鉱油の差異を計測する。
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IEEE Trans.Appl.Supercond
巻: (印刷中)
電子情報通信学会技術報告
巻: SCE2010-38 ページ: 13-16
J.of Supercond.& Novel Magn.
巻: DOI 10.1007/s10948-010-0876-8