| 研究概要 |
本年度については下記の成果を得た.
(A) 情報圧縮:離散値入力制御のための新しいツールとして,ランダムディザ量子化器の検討を行った.まず,フィードバック制御系におけるランダムディザ量子化器の性能の上界を導出した.そして,その量子化器が,極めて簡単な構造を持つにも関わらず,高性能な離散値入力制御を実現するものであることを理論的に証明した.また,その量子化器の動作周期と制御性能との関係を明らかにした.
(B) 情報復元:解像度が制限されている多段階センサの出力から,時系列情報の適切な処理によって本来のシステム状態に関する情報を復元する手法について考察した.凸最適化により信号を滑らかに補間する手法と,状態推定器との組み合わせにより,情報復元する手法を考案し,基礎的なシミュレーションと実験によりその効果を検証した.
(C) ソフトスペック制御:従来の厳密な性能仕様を緩和し,対象に合わせて性能と「簡素さ」のトレードオフを考慮する制御系設計を本課題ではソフトスペック制御と呼んで提唱している.本年度は以下の事例を通じてソフトスペック制御の有効性の検討を行った.
(a) 実用安定化法による目標軌道の緩い追従[制御仕様の緩和]
(b) 低周波の周期入力を組み合わせた制御[低解像度信号による達成]
これらを非ホロノミック移動ロボットシステムへ適用し,シミュレーション及び実機実験を行ってソフトスペック制御のアプローチの有効性を検証した.
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