研究概要 |
まずサンプル値フィルタの適応更新則については,重み関数が1次系の場合に完全な階を得た.ただ2次以上の場合については現在必ずしも閉じた公式が得られておらず,これは22年度以降の課題としたい.次に一般的な勾配則を用いた適応化については,ある程度の成果を得たものの,必ずしも初期に予定した性能を上げられずにいる.これにはいくつかの理由が考えられるが,一つには勾配係数の計算精度の問題があるのではないかと推察される.これについては22年度以降続けて検討したい. 他方,サンプル値フィルタ理論のシステム理論への展開については,1)繰返し制御系への新しい定式化と応用,2)サンプル値理論によるヒストグラムからの確率分布密度推定,などの新しい展開を見た.これらは構想したサンプル値制御理論による新しい信号処理とシステム理論への展開の範疇に入るものであるが,ことに2)において新しいシステム理論の進展を期待させるものとなっている.この方向は引き続き22年度以降より深化させる予定である. 応用面においては,より高速化した帯域拡大処理を行うMP3音楽プレーヤの開発を,共同研究企業と進めている.これによって,サンプル値制御理論によるフィルタ処理が一層普及することも視野に入れている.また同時に,高度なノイズ除去を行う画像処理フィルタへの応用も進めている.これらは共同研究により,22年度以降一層進展させ得る予定である.
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