本研究は即発γ線分析によりコンクリート内部の塩化物イオンの濃度分布を測定する技術を、現場での非破壊計測方法に発展させることが目的である。昨年度提案した測定対象物の表面にダミー試料を取り付けて一枚ごと外して即発γ線を計測する方法では測定精度を改善する必要があったため、本年度は中性子ビームの照射角度を変えることにより、徐々に測定範囲を供試体の表面から深くすることにより、任意の塩化物イオン濃度の分布を評価することができた。測定精度は昨年度の方法よりは改善されたが、まだ精度を良くする必要がある。測定精度に関しては即発γ線分析の測定時間などの測定条件も関係しているため、来年度は測定条件の観点からも検討する予定である。また、即発γ線分析を用いて従来の方法に比べて試料の調整などを必要とせずにコンクリートの配合分析ができることが分かった。次年度は配合分析についても検討する予定である。一方、本年度も昨年度同様に、中性子ビームでなく現場での計測を考慮して水分計などで使用されているカリフォルニウムを用いて塩化物イオンの測定を試みたが、種々の工夫を試みたが、明確な即発γ線が計測できなかった。中性子ビームを用いた場合にはある程度の精度で塩化物イオン濃度分布を測定できることから、カリフォルニウムを用いた即発γ線の計測については、既往の研究で提案されている装置を参考にして、上述の方法が適用できるかどうかを次年度に検討する予定である。
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