研究概要 |
平成21年度は,非接触非破壊検査法の一つである電磁超音波の数値解析ならびに基礎実験を行った.数値解析においては,超音波や電磁波の両方の波動場を考慮できる波動解析ツールとして,2次元及び3次元時間領域境界要素法プログラムを開発した.具体的には,電磁超音波の送信過程と受信過程の別に解析を行った.送信過程においては,最初に解析解によって静磁場を求め,その後,電磁場解析によって渦電流を得た.そして,渦電流と静磁場の相互作用によりローレンツ力を計算し,それを物体力とみなして弾性波動の運動方程式を解析した.電磁超音波の受信過程においては,送信過程と逆の順序で弾性波動解析の後に電磁場解析を実施し,受信電圧を求めた.以上の電磁場及び弾性波動場の解析における時間領域境界要素法では時間に関する合成積が現れるが,その合成積をLubichによって提案された演算子積分法によって評価した.これによって,時間領域の解析においても安定した高精度な解を得ることができるようになった.解析の結果,波速から計算された波動の到達時間よりも受信波が早く受信探触子に到達するという電磁超音波の特徴を再現することができた. 実験では,SH波を選択的に送受信することができるSH用電磁超音波探触子を作成し,基礎的な探傷実験を行った.入力電圧をチャープ信号とし,受信信号にパルス圧縮法などの信号処理を施して,電磁超音波の受信信号のS/N比を向上させた.その結果,電磁超音波によって材料中の傷を精度良く画像表示することができた.
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