研究課題
本研究は、Eディフェンス実大橋脚振動実験から得られた塑性変形メカニズムを模型の寸法効果の観点から実証し、これを新しい塑性ヒンジメカニズムとして開発すると同時に、この考え方に基づいて高じん性橋脚の開発を図るものである。平成21年度には、実大橋脚に対して幾何学的相似則が正確に1/5となるように縮小模型を製作し、応答載荷実験によって塑性ヒンジの履歴メカニズムに及ぼす寸法効果を検討した。縮小実験では、軸方向鉄筋、帯鉄筋の径と配置をできる限り実大橋脚に合わせ、最大粗骨材寸法も従来の小型実験で使用される事例の多い10mmの他、縮小率に応じて骨材サイズ1/5に縮小した5mmの模型を製作した。ただし、今年度は最大粗骨材寸法が5mmの模型に対する載荷がうまくいかず、これに関してはさらに次年度に再検討することとした。本検討の結果、載荷初期の段階から縮小模型では実大橋脚よりも損傷の進展が常に早く、実大橋脚ではまだかぶりコンクリートの剥落やコアコンクリートの圧壊が生じない段階から縮小模型ではかぶりコンクリートの剥離やコアコンクリートの圧壊が生じ始めること、軸方向鉄筋の局部座屈も縮小模型の法が実大橋脚よりも早く生じることが明らかとなった。また、曲げ耐力も相似即で補正すると、縮小模型の方が実大橋脚よりも小さくなること、ただし、載荷を繰返し、模型の損傷が大きくなると縮小模型と実大橋脚の違いが減少することがわかった。これらの結果から、実大橋脚に比較して宿縮小模型では、かぶりコンクリートやコアコンクリートの損傷、軸方向鉄筋の局部座屈がすべて早期に生じ、曲げ耐力も小さくなるとの結果が得られた。ただし、これは、最大粗骨材寸法が10mmと本来の縮小模型に要求されるよりも大きい状態で生じた結果であり、次年度に再実験する最大粗骨材寸法5mmの模型に対する応答載荷実験結果を待ってさらに詳細に検討する必要がある。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件)
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