研究概要 |
本研究では,供用後55年経過し,撤去した既設鋼リベットアーチ系橋梁からリベット集成部材を取り出し,リベット接合部(1面せん断継手と2面せん断継手)およびリベット集成部材の耐荷性能実験を行った.耐荷性能実験では,腐食進展を人工的に模擬したケースも対象とし,健全状態と腐食進展状態との比較を行った.ここでは,腐食進展を,リベット頭部を削り取ることで模擬している.また,リベット接合部要素については,FEM解析を行い,リベット頭部の腐食損傷度と継手耐力の関係を調べた.その結果,リベット頭部がほとんどなくなるようなリベット頭部の腐食であってもリベット集成部材の曲げ耐荷力の減少はほとんど見られず,リベット軸部の局部変形も少ないことがわかった.また,リベット接合部要素については,引張荷重を受ける一面せん断継手の場合,リベット頭部が半分程度残っている場合でも,腐食損傷形状によっては残存強度が健全な場合の80%以下となる場合があった.さらに,引張荷重を受ける二面せん断継手の場合,リベット頭部が無くなるような極度な腐食では,最大強度で15%程度,降伏強度で12%程度低下する可能性があることを明らかにした.一方,圧縮力を受ける場合,引張力を受ける場合に比べ,継手強度は大きくなる.一面せん断の薄板継手では,他の継手(一面せん断厚板,二面せん断継手)がほとんどその強度比が変わらないという傾向と異なり,腐食損傷を受けると引張と圧縮の強度比は大きく異なった.
|