研究概要 |
オホーツク海サハリン島沖においてガスハイドレート賦存地盤から海底堆積物を採取し,その物理的,力学的性質を調べた。また,採取試料のガス濃度を測定し,ガス濃度の相違が力学的性質に与える影響についても調べた。さらに,応力解放に伴う堆積土の乱れの評価を行うために,高圧条件である海底地盤での試料採取から室内試験に至るまでの応力条件を再現した実験を行い,間隙水溶存ガスの気化に伴う強度変化を調べた。得られた結果をまとめると以下のようになる。 1.オホーツク海サハリン島沖海底地盤から採取した堆積土の物理的性質は,採取領域により含水比などは異なるが,同一コアの場合,深度方向での明確な相違は認められなかった。 2.採取試料の強度特性は,コア引き上げ時の応力開放に伴う間隙水溶存ガスの気化に伴って変化し,溶存ガス濃度の高い試料ほど気化に伴う試料の乱れにより強度が低くなる傾向にあった。 3.高圧条件である海底地盤での試料採取から室内実験に至るまでの応力条件を再現した実験を行った結果,間隙水溶存ガスの気化により試料が乱れ強度が低下した。また,乱れの程度は背圧減圧時の鉛直応力が低いほど,強度低下が顕著に現れることが明らかにされた。このことは,鉛直応力の低い表層地盤ほど溶存ガスの気化に伴う強度低下が顕著に現れる可能性がある。 4.海底地盤に限らず,間隙水中の溶存ガスの多い地盤から試料を採取する場合,通常のサンプリング作業のように上載荷重を除いた後に試料を採取すると実際の地盤強度よりも採取試料の強度が低下することも示唆された。
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