研究課題
(1)降雨先行指標としての地上風速収束量の利用可能性の再検討前年度まで既存のGPS可降水量データと環境省による大気汚染常時測定局の風速データ用いて、豪雨先行指標としての利用可能性を検討し、その限界点も明らかになった。今年度は、東工大キャンパス内に風速リモートセンサーであるコヒーレント・ドップラーライダーが設置される新たな状況を勘案し、ラーダー観測風速の豪雨先行指標としての利用可能性についても検討した。ライダーは視線方向の風速成分しか原理的に計測できないが、視線方向速度の空間パターンの相関解析から、直接計測できない半径方向の風速成分を推定する新たな手法を開発し、2次元の水平風速ベクトル場から、豪雨指標となる収束・発散量を導出する(VIV法)ことが可能となった。この手法を用いて、水平収束と同じく東工大キャンパスに設置されているマイクロ波放射計による積算可降水量(IWV)との対応を調べたところ、豪雨開始の1~2時間には水平収束・IWVともに顕著な上昇を開始し、豪雨先行指標としての利用可能性が示された。(2)都市気象モデルによる豪雨発生予測可能性の検討メソ気象モデルWRFに最新の陸面過程モデル(Kanda et al.,2005)と細密建物地理情報を組み込んだ、降雨シミュレーションを行った。細密建物地理情報は別途LESによる高解像度解析によって蓄積されてきたデータベースを用いて精度の向上を図った。豪雨の再現性はいまだ十分ではないが、細密建物地理情報の有無が、豪雨強度を有意に強化することを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
他の連携プロジェクトの恩恵により、当初使用予定のなかったライダー・マイクロ放射計などの最先端リモートセンサーの利用によって、VIV法など、豪雨先行指標として有効性が期待される技術開発がなされた。
当初予定どおり、さらに改善された都市気候学的な詳細な地表面パラメタリゼーションを用いた豪雨解析を行うと同時に、ライダーなどの最先端リモートセンサーの観測値も有効に利用して最終的な成果としたい。
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