本研究は主として、水質統計資料のデータベース化、栄養塩の動態把握のための現地観測、そして水環境への定量的影響評価と将来予測のためのシミュレーションより構成されている。本年度は、淀川水系の河道部および河口沿岸域において、流況・水質の現地観測を実施するとともに、上水・下水の水質調査を実施し上下水道を介した栄養塩動態の解析を行った。また、次年度以降の解析に向けて、河川および下水道の水質データのデータベース化も行った。 【現地観測および水質・底質分析】 ・ 淀川河口域を含む大阪湾奥部において現地調査を実施し、栄養塩・有機物の分析を行うとともに、台風出水時の貧酸素水塊の挙動も明らかにした。 ・ 淀川水系および大和川にて平水時・出水時に観測を実施し、L-Q特性など栄養塩輸送の実態を明らかにした。 ・ 下水処理水の流入により水質が極めて悪化している神崎川を対象に、観測データを基に人工循環系の影響の解析を行った。 【水質統計資料のデータベース化】 ・ 大阪湾を含む周辺海域と流入河川の水質データを収集し、水質の変遷を分析した。 ・ 淀川流域圏の過去30年分の下水道水質データを収集し、データベース化を進めた。 【物質動態シミュレーション】 ・ 分布型流域モデルに人工循環系のプロセスを組み込み、実態モデルへの改良を図った。 ・ 沿岸生態系モデルにおける底質と低次生態系の扱いについて、適用性の向上に向けた改良を行った。
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