研究課題/領域番号 |
21360236
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 修三 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40172663)
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研究分担者 |
入江 政安 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (00379116)
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キーワード | 大阪湾 / 流域圏 / 流入負荷 / 物質輸送 / 栄養塩 / 人工循環系 / 上下水道 / シミュレーション |
研究概要 |
本研究は、大阪湾流域圏を対象に流域から海域まで一貫した物質循環解析に、上下水道等の人工循環系を組み込み、流域と海域の水質改善に果たしてきた人工循環系の役割と、物質循環・生態系保全の視点から捉えた水環境の健全化に及ぼす影響について評価を行うものである。研究は主として、水質統計資料のデータベース化、栄養塩の動態把握のための現地観測、そして水環境への定量的影響評価と将来予測のためのシミュレーションより構成されている。研究最終年度である本年度は、昨年度までの研究成果を踏まえ、不足するデータの収集と現地観測を実施し、人工循環系の栄養塩フローの定量分析を行うとともに、水環境の改善に向けた複合循環系のシナリオ解析もあわせて行った。得られた主要な成果は以下の通り。 ・大阪湾流域圏における合流型下水道に関するデータ、特に越流水に関するデータの収集を行った。 ・大阪湾の水質と低次生態系の変遷に関するデータを収集し、陸域負荷の影響について解析を行った。 ・河川調査とともに実施した上下水道におけるシリカの動態調査により、浄水・下水処理過程においてシリカ濃度はほとんど変化せず、家庭排水等の付加を受けながらシリカは人工循環系を輸送される。 ・データの不足している合流式下水道の越流水(CSO)の流入調査を行い、その負荷量の算定を行うとともに、越流水の栄養塩負荷量を捉えるためのモニタリング方法の提案も行った。 ・流入負荷量の変化が沿岸海域の水質に及ぼす影響について、3次元流動水質モデルを用いた解析を行い、水環境の健全化策の検討を行った。その結果、流入負荷操作の効果は沿岸域に限定され、大阪湾全域の環境勾配の改善効果は小さかった。 本研究により得られた研究の成果は、国内外の学会にて発表するとともに論文投稿を行った。
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