研究概要 |
「研究実施計画」の研究I~IIIに関する当該年度の研究実績は,以下のとおりである。 ■研究I「都市域浸水・減災対策検討シミュレータ」の開発 (1)蛇行河道での破堤氾濫流に関する模型実験を実施し,これに対する「高精度平面2次元洪水・氾濫流モデル」の適用性を検証した。(2)「高精度平面2次元洪水・氾濫流モデル」に「高精度な地盤高・河道特性データ」と「GISによる流域情報一元管理」および「ダイナミック下水道網モデル」を組込み,「都市域内水・外水複合氾濫解析モデル」を開発した。(3)流域特性を考慮した「セル分布型流出解析モデル」と「高精度平面2次元洪水流モデル」より構成される「分布型流出・平面2次元洪水追跡モデル」を開発した。また,同モデルを遠賀川流域に適用し,複数の実績降雨に対する水位ハイドログラフおよび水位流量曲線に基づき,その再現性を検証した。(4)「都市域内水・外水複合氾濫解析モデル」に「分布型流出・平面2次元洪水追跡モデル」を組み込むことで,「都市域浸水シミュレータ」を開発した。 ■研究II「樹林帯」の減災機能の工学的な評価とその整備・保全法の開発 (1)樹林帯特性と堤内地地盤高を変化させた模型実験と,「樹林帯と堤内地地盤高を考慮した越流流量式」の開発を行い,同越流流量式に基づき,樹林帯による越水流量の低減効果について検討した。(2)模型実験と簡単な理論解析に基づき,樹林帯の破堤氾濫流に対する減勢効果とその際の水位上昇量について検討した。 ■研究III「浸水減災シミュレータ」の実流域への適用と減災効果の総合的な評価・検討,及びそこでの効果的な雨水管理法と減災法の提案 (1)遠賀川流域の流域特性・地盤高・河道特性データに加え,飯塚市の下水道網・市街地構造等の「GISによる流域情報一元管理とデータ作成」を行った。(2)「都市域浸水シミュレータ」を遠賀川流域に適用し,飯塚市を都市域として,2003年九州豪雨災害以降に講じられた諸治水対策の有効性について検討した。さらに,仮想的な水災シナリオと浸水プロセスについても検討した。
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