研究分担者 |
池田 清宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50168126)
斉木 功 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40292247)
河野 達仁 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (00344713)
織田澤 利守 神戸大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30374987)
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研究概要 |
本研究の目的は,大別すると,以下の2つである.まず,第一の目的は,応募者が先行研究で開発した方法論をさらに発展させ,より一般的/現実的な空間条件や経済・産業条件の下でのCPモデルの理論を構築することである.より具体的には,2次元空間上の多都市CPモデルの分岐(空間的集積パターンの自己組織化)特性を解明する.この解析では,輸送費用に関して均質な空間での分岐解析から始め,各種境界条件等の影響を明らかにする.また,CPモデルに産業別の財の輸送費用・代替弾力性・規模の経済を導入した多都市・多産業モデルを構築し,その分岐特性を解明する.さらに,第二の目的として,空間経済学的な集積経済モデルと現実に観測される都市集積パターンの規則性(Zipf法則や都市階層原理)との整合性を図る.これは,CPモデルに確率的なメカニズムを導入したモデルを構築することで実現を目指す. 本年度は,第一の目的については,これまでに開発した分岐解析法を活用し,2次元空間上でのLosch型集積パターンの創発メカニズムをより詳しく調べた.その結果,CPモデル以外でも,ある種の対称性条件を満たしていれば,同様の分岐メカニズムが成立しうることを明らかにした.また,周期境界を持たない線分都市システムにおいても,周期境界型空間で創発する"空間的周期倍分岐現象"と類似した集積パターンの推移が見られることを発見した.第二の目的については,昨年度構築した多産業CPモデル及びその数値解析法を基にした計算機実験により,Zipf法則と階層原理の成立を確認した.より具体的には,多都市・多産業CPモデルでは,交通費用の変化に伴い,都市階層原理が創発することを明らかにした.また,産業別の財の代替弾力性があるクラスの(正規性条件を満たす)確率分布に従うなら,各都市への集積企業数に関するZipf法則が創発することが示された.
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