研究概要 |
道路舗装,橋梁,斜面などの社会基盤施設を対象に,これらを社会経済システムの中で一体的に管理する社会資本アセットマネジメントを本格的に実践してくため,産官学民による地域協働型でCAPDサイクルを廻し,構造物の劣化および災害・事故リスクに対して,安全に暮らせるための地域リスクガバナンスシステムを開発した. 1.社会的費用を考慮した社会資本アセットマネジメント手法の開発 道路舗装,橋梁,危険斜面を対象として,それらを同等に取り扱うことで,より効率的に道路ネットワークの安全性を確保する総合維持管理手法を開発した.リスク評価に基づいて複数工種における対策必要性を一元的に定量評価し,道路ネットワーク全体のリスクを効率的に減少させる道路施設あるいは区間を抽出する方法を開発した. 2.地域協働型インフラ管理におけるCAPDサイクルシステムの開発 膨大な施設数,技術者不足,厳しい財政などインフラ管理に関する課題が多い地方都市を対象として,産官学民連携による地域協働型インフラ管理を提案し,主体間の関係および各主体の果たすべき役割を整理することで,実践可能なCAPDサイクルシステムを開発した. 3.災害・事故リスクに対し安全な暮らしのための地域リスクガバナンス手法の開発 地域リスクガバナンス手法として,多様な主体が協働で道路施設管理を担うための仕組みづくりと人づくりに着目し,地域協働型道路施設管理手法を開発した.具体的には,仕組みづくりの方向性として「自治体問の連携」,「民間活力の活用」および「住民参加」を示した.また,人づくりの方向性として「専門家の育成」,「住民の主体的な活動の創出」を示し,人づくりを仕組みづくりに結びつけるために「中間支援組織の活用」が重要であることを示した.また,史的な調査・分析を通して,我が国では,それが成立する可能性が高いことを示した.
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