研究概要 |
本課題ではITS技術の進展に伴う動的交通データの利用可能性の増大を前提として,道路ネットワークが提供可能な交通サービス水準およびその変動状況を分析・評価する体系的方法論を構築する.加えて,交通サービス水準向上を企図したマネジメント手法の提案を試みる.21年度は(1)時間信頼性指標に基づく道路ネットワークのサービス水準評価手法の構築,(2)道路ネットワークサービス水準と交通需要変動との関係分析,および(3)時間信頼性の向上を目指した交通マネジメント方策の効果分析に取り組んだ.(1)では所要時間信頼性の考え方を適用し,道路ネットワークの交通サービス水準を評価するための方法論・指標を考究した.分析評価の第1段階として,分析対象道路区間の所要時間分布を利用可能データから抽出し,「交通サービス変動指標」および「交通サービス円滑性指標」を算出した.(2)では交通需要側の要因と道路ネットワークのサービス水準との関係について分析した.分析対象区間の交通状態(交通流率,速度)をEdie(1961)の方法を応用して推定し,交通状態変化と,(1)で評価を試みた交通サービス水準(サービス変動指標・サービス円滑性指標)の関係について統計的に分析した.加えて交通需要とサービス水準の両変動の間の関係性を定量的に評価分析するため,観測交通量データを利用した時間帯別経路交通量推定モデルを構築した.(3)では動的交通情報提供によるマネジメントに着目し,利用者ニーズを勘案した高度化の可能性について検討した.交通マネジメント方策としての情報提供改善の取り組みとして,所要時間の現在情報に加えて,傾向情報を提供する状況を想定し,利用者の提供情報に対する反応を分析・モデル化した.室内実験システムを用い経路選択実験を実施し,得られた選択データを用いてロジットモデルとして経路選択モデルを推定した.
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