研究概要 |
1. 研究の目的 視覚障碍者が晴眼者に遜色なく買い物や街歩きを楽しむことを支援する歩行者ナビ実用化研究を行う。利用者機器として市販GPS携帯電話を利用し、視覚障碍者に必要な機能、すなわち、(1)交差点などで屈折方向を誤らないために必要な詳細位置特定精度または詳細な歩行支援情報,(2)環境音の聴取を阻害しないナビ信号・指示,(3)目的施設・店舗などの確実・高精度な通知、を付加する。中期的(5~7年程度)に実用化されることを狙って、研究期間(3年)内に、1)GPS誘導と無線タグ技術などによる詳細誘導とのエリア的役割分担、2)無線タグ未設置地点における代替的案内方法、3)地域案内板や店頭の電波ビーコンなどの支援インフラ、などの技術指針を明らかにすることを目的としている。 2. 研究内容・成果 3箇年計画の初年度にあたる平成22年度は、既往研究の成果であるナビ機器ならびに誘導メッセージの機能拡張のための基礎的な検討・実験を行った。実験は2つのサイトで実施した。 公園サイト(屋外、歩行距離約2Km)では、詳細な歩行支援情報(「言葉の地図」と称する)とGPS誘導よりも精度の高い詳細位置特定誘導のあり方について考案した「ガイドライン」案の妥当性を、実地検証した。実験は2009年10月~11月に実施し、被験者は視覚障害者24名であった。 大学サイト(屋内・学内、歩行距離約1Km)では、「言葉の地図」に加えて、玄関ホール設置の案内板や個室ドアからの誘導音との連携について実験を行った。実験は2次(2009年12月、2010年1月)にわたり、被験者は視覚障害者延41名(10名+31名)であった。 上記の実験成果を踏まえ、平成22年度は、多様な環境における誘導実験を行って「ガイドライン」案の改善を図っていく。
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