研究概要 |
1. 研究の目的 視覚障碍者が晴眼者に遜色なく買い物や街歩きを楽しむことを支援する歩行者ナビ実用化研究を行う。利用者機器として市販GPS携帯電話を利用し、視覚障碍者に必要な機能、すなわち、(1)交差点などで屈折方向を誤らないために必要な詳細位置特定精度または詳細な歩行支援情報,(2)環境音の聴取を阻害しないナビ信号・指示,(3)目的施設・店舗などの確実・高精度な通知、を付加する。中期的(5~7年程度)に実用化されることを狙って、研究期間(3年)内に、1)GPS誘導と無線タグ技術などによる詳細誘導とのエリア的役割分担、2)無線タグ未設置地点における代替的案内方法、3)地域案内板や店頭の電波ビーコンなどの支援インフラ、などの技術指針を明らかにすることを目的としている。 2. 研究内容・成果 研究第2年度にあたる本年度は、次の3課題に取り組んだ。 1)大学サイト(屋内)において電子案内板としての活用を図る電波タグ(RFID)応用品(市販品)の特性を把握し、携帯電話ベースの連携ソフトウェアの動作・操作性を確認した。 2)昨年度に実施したGPS連携ナビに関する成果を洗練化して、視覚障碍者を対象とする道案内として実用に耐える水準で、携帯電話に実装した。 3)屈曲・蛇行した路や、多枝交差点など、単純な進行方向指示では道案内が不可能な地点などでは図による記述が有効であるが、視覚障碍者のためにはそれを音声(「ことばの地図」)で提供しなければならない。公園サイトをフィールドとして多様なケースを検討した。 なお、スマートフォンの急速な普及などハードウェア環境の変化が激烈であったため、大規模な実験は次年度に持ち越すこととし、アルゴリズムやガイドラインの精緻化と、移動支援ニーズの把握に重点をおいて研究を進めた。
|